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日本のマネー状況 その1: 歴史的に見て日本はいつまでが強くて、いつから弱くなったか

ドル円相場を把握するためには、USおよび日本の経済状況を把握しておく必要があります。

 

日本人の目線で見てみると、現状の日本は政治不信から来る経済動向への不安があります。失われて20年を経てもなお、いまだデフレから脱却できず、アベノミクス以降も構造的な円高は続いています。結果、オリラジ中田氏のような自由派の経済人は海外移住を進める状況であり、おそらくグローバルな視点で見た時の日本に対する魅力は失われつつあります。

 

一方で、GDP三位かつ主要通貨の円が流通貨幣 第三位であるなど、世界的に見ても依然として強い国と認識されています。余談ですが、日本は引っ越したい国の二位だそうです(世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...)

 

定性的に言えば「今は大丈夫だけど、そろそろやばいんじゃね?」ということになりますが、じゃあ「そろそろ」っていつなの?というのが気になります。私は経済のことは専門家ではありませんが、調べればそれなりの情報は出てきますので、主に自分用のメモとして書いていきます。

 

「そろそろ」に具体的な数字の感覚を持つには、

*歴史的に見て日本はいつまでが強くて、いつから弱くなったか。

*日本円の信頼が失墜するとしたら、どんなことがトリガーになりえるか。

*日本の経済力をどうとらえればいいか?

このあたりを調べていけばいいかなと思います。

 

歴史的に見て日本はいつまでが強くて、いつから弱くなったか

日本は敗戦後、高度成長期を通じてバブル期に世界的な経済の頂点を極めました。日米貿易摩擦ジャパンパッシング、日本の車不買運動みたいなものが起きるぐらいの成り上がり具合で日本は一気にGDP2位の座に駆け上りました。日本の敗戦が1940年代でバブルが弾けたのが1990年代なので、乱暴に言っておよそ50年間、日本は成長し続けたのです。

バブルが弾け、日本経済が停滞してから20年間のことを"失われた20年"というように、2010年までは、停滞期が続きます。この期間、ちょうどIT (コンピューター、インターネット、モバイル通信)が成長していき、それまで不調気味だったアメリカ経済は順調に回復していきます。途中、ドットコムバブルが生まれたりもしましたが、その時(2008,2009年)を除けば、アメリカは着々と経済成長を遂げており、成長痛であるインフレも起こしています。

一方の日本はといえば、この期間、デフレに悩まされます。(参考:インフレ率の推移)

 

2012年に誕生した第二次安倍内閣は、この経済停滞に対して危機感を持ち「アベノミクス」を始めます。三本の矢、黒田バズーカなどの対策を通じて、日経平均株価も、名目GDPも上がりました。日経平均株価は10,230円から22,750円、名目GDPは四半期492兆円から546兆円との事なので、少なくとも何らかの変化はもたらしたものと考えることができます。(参考: 【経済インサイド】アベノミクスの黄昏 消費減税解散にくすぶる臆測 ) 2012年から2020年なので、ここは乱暴におよそ10年間、安倍政権による経済改革があったと考えましょう。その後、いくつかの政治家としてのスキャンダルとコロナにおける采配ミスから、安倍政権は失墜し、当時官房長官だった菅さんが引継ぎ、現在の状況にあります。(なお、ご存知の通り、2021年5月現在は、菅内閣はコロナとオリンピックで集中砲火を浴びており、支持率31%と経済対策をする以前に苦戦を強いられています。)

 

このような中、現在の日本には主に2つの経済的な検討事項があると考えます。デフレと借金です。

 

まずデフレですが、先ほど述べた通り、日本はバブルが弾けた1990年代以降、デフレが発生しており、アベノミクスを通じても大きな改善はなされていません。プラスには転じているものの、目標としていた2%のインフレ率には届かず、このまま黒田総裁の任期は終了するのではないかといわれています。(出典: 

物価「2年で2%」から「10年で1%」へ 黒田日銀の苦闘: 日本経済新聞 )

健全な経済成長であるインフレは、アメリカだけで起きているわけではなく、世界のあらゆるところで起きています。中国、インド、東南アジアといった国々は順調に経済成長しており、インフレが起きていない日本の物価だけが相対的に低下しています。結果、日本のあらゆるものが、海外から見て「お買い得」の状態にあります。スキー場は外資に買われ、日本のアニメーターは中国資本のアニメ制作会社の外注先になりつつあります。少子化もあいまって、海外のマネーと人が日本国内に流入していき、結果として「日本人だけが済みずらい日本」が生まれつつあります。

 

次に借金です。日本は借金大国といわれており、GDP比で2倍以上の総債務残高があり、これは世界一です (出典: 物価「2年で2%」から「10年で1%」へ 黒田日銀の苦闘: 日本経済新聞 ) 当然、ギリシャが以前、財政危機に陥りましたが、これよりも多く、日本という国自体が財政破綻しないかということが懸念されます。

ただし、ギリシャとは違い、日本は自国通貨であり、経済が国内で完結していることから、借金しても平気という考え方もあります。むしろインフレを引き起こしても問題ないのだから、借金をもっとすべきだという意見もあり、私はどちらかというとこの考え方に賛成なのですが、日本政府および日本銀行はこの考え方を持っていないですし、それ以前に日本政府はコロナとオリンピックで思考停止に入っているので、今は判断のしようがありません。ステータスとしては「ペンディング」の状態です。

 

このあたりは、MMT(現代貨幣理論)と既存政府の考え方の違いのようなものであり、ポジションが違えば異なる意見が出てくるものなので私見の展開は控えますが、いずれにせよ、現段階において、日本の成長に対する具体的な指針が存在しない、とは言ってよいと思います。

 

まとめると、日本は戦後からみて

50年間 : 成長した

20年間 : 停滞した

10年間: 多少良くなったがまだまだ

その後: 不透明

という状況にあるといえます。

 

(続く)